工事再開の悲報

なんということでしょうか、。
保健所の営業許可もおりて、いよいよ販売に向けての仕込に入ろうとしたその時、とても重要な機械が壊れました。嘘のよなタイミングで、そのショックはとても大きく、声も出ないとは事ことなのかというほどの衝撃でした。ご報告することも情けない事態ですが、現況をそのままお知らせします。

その壊れた機械はガス窯の煙突からでる排気を外へ出すための「ファン」で、悪い事に天井裏のダクトの中間に設置されています。何が事態をより悪くしているのか、それは場所とタイミングです。天井を壊し、切り取って、その次に出てくる木枠を解体し、ようやく到達できる地点に設置されている見えない場所にあるファンなのです。

10年は動くはずのもので通常は点検を要する部分ではないので、点検口も設けませんでした。 もちろん、新品の日本製です。このタイミングの悪さ、究極の悪さともいえそうな見事な故障です。

営業再開への影響
このアクシデントの為に営業再開が遅れる可能性が出てきました。
12月8日を目指していますが、間に合わないかもしれません。本当にごめんなさい。現在は、応急処置の環境下で8日(土曜日)の1日だけでも販売できればと希望を捨てていませんが、まだ分りません。

床も磨き終わり土足厳禁になった清潔な工房内に、完全に仕舞い込んだ工具が再び運び込まれ、早くも天井解体のゴミが散らかり出しました。なんだか、ドッと疲れが出ると言うか「いやになる」というか、心身にこたえるアクシデントです。2tの窯を動かせるわけもなく、天井に手をつけるには、窯の上に自ら這い上がるしかありません。わずかな隙間をイモムシの様に少しずつ進んで、そこから仰向けになるのも大変でした。このプロジェクトBの期間に体重6Kgコケておいて良かったです。

悲しいよりも悔しいです
お客さんにも手伝ってもらいながら美しく仕上げた天井には、ビスの跡もありません。全てのビスを硬く固まるパテで埋めたので、どこにビスがあるのかが分からない、そのくらいキレイな天井です。窯から蒸気が発生するので塗料も4重に塗りました。さらに隙間はすべてコーキング処理していて、キワはコークボンドで接着済み。厳重に厳重を重ねた完璧な天井を壊すという、何とも言えない心苦しさと情けなさ。その心境たるやただただ悔しいです。壊れていると思われる中間ファンのドレンが顔に刺さる位置にあり、どんどんと嫌になってきました。。。一体自分はこの大事なタイミングで何を始めているのか、、、そんな心境を写真で撮られているとは知りませんでした。


ビスの位置を磁石で探し出して、マイナスドライバーでほじくって穴を開けて、ペンキとパテを削る作業、、、心が痛みます。
塗膜やボードのカスが顔に降ってくる中、約40個のネジを何時間もかけて外しました。悲報を受けた名人がアシスタントとして来てくれて、道具を取ってくれたり、ビスを受け取ってくれたりと助けてくれました。一度這い上がったら脱出は大変なので、道具の受け渡しはとても有難かった。でも、「ちょっとまってて!」と言われたので必死に待っているのに、こんな写真を撮るためだったとは、、、悪い思い出にはなりますが、、、次回はもっと早くパスを受け取ってくれることを願います。人が天井で潰れていると言うのに、。

落ちてきた天井と窯の屋根に挟まれた図

天井をはがしたところで今週が終わりました。ファンを交換するのか、別の方法を模索するのか、どうするべきなのか、分からないことだらけです。誰のせいでもない災い。パンドラの箱から湧き出すというワザワイは、あの日から止まっていなかったようです。

パンドラ会のご報告
先週、「バゲットの行き先」でパンドラの箱を開けて苦悩が始まりました。実食のための機会をパンドラ会と名付けて前日告知。平日にもかかわらず入れ替わり立ち代わりに来てくださったお客さんのお蔭で計30本近く焼いた麦違いの「バゲット・ロマンス」は全て食べ終わりました。(告知した当日の日にちと曜日が一致しておらず、一部のお客様には大変なご迷惑をかけてしまいました。申し訳ございませんでした。)お客さんと実食しながらの色々な意見交換はとても有意義な時間でした。上履きを持参してくれたお客さんや強制的に7人のコビトみたいな足にされたお客さん、皆がこのバゲットの香りの後ろに隠されている複雑なロマンスの事を知っているということが、とても心強くて嬉しかったです。


廃棄部分の再利用について考えてくれた人、無駄になるならつくるのは辞めるべき、と言ってくれたお客さん、でも食べたいという迷い、それらを楽しく前向きに話し合えたことは大きな収穫でした。1人モンモンと考えるよりも明るくて創造的な時間を過ごせました。僕にとって悩みの種だったバゲットを、初めて成形してキャッキャと喜んでくれるお客さん。悩みを断ち切る瞬間を笑顔で過ごせた幸運を振り返って噛みしめました。

Bio春よ恋とBioキタホナミの”Baguette Romance”.


残った希望
パンドラの箱の物語では最後に希望だけが残りました。その希望とは一体何を意味するのでしょうか。実は、「もうバゲット・ロマンスは焼かない」と決めました。あんなに込めて育てた麦の一部を捨てるということを、どうしても贅沢と考える事が出来ませんでした。そして立て続けに重要な煙突排気のファンが壊れた事で、窯の運転が困難となりました。一度開けてしまったパンドラの箱からワザワイが出切って、最後に希望が残るのだとしたら、早く出切ってほしいものです。一難去ってまた一難とは言いますが、少しずつでも進んでいれば報われます。しかし今回のこのタイミングでの後戻りはあまりにも大きい様に見えます。とにかく、今しなければならないことはファンの故障問題を解決することです。

生産者さんの訪問
もう焼くことの無いバゲットロマンスを焼いて食べた当日夜、誠に見事なタイミングでBIO小麦・ピリカアマムの生産者さんが訪問してくれました。


再開の喜びも束の間、製粉とフルイの話、ロスと廃棄の話、さっきまで催されていたパンドラ会の話、挽いた粉を見てもらったり、その他色々な話を聞いてもらいました。フスマやヌカを土に還すことでまた麦が実るという自然の循環から外れた場所にあるここベースベーカリーでは、白い粉を作った途端に無駄とロスが発生する事実は覆せそうにありません。

だからもう、ここでパンを焼く限りは白い粉で焼くパンをすべて辞めます

ひとつの大きな決断を短期間で下せたのは、パンドラ会に集まってくれた皆さんとの交流と生産者さんとの再会、そしてやはりパンドラの箱を自ら開けてしまったことで得た濃厚な実体験があってこそでした。下した決断が最後に箱に残った「希望」であってほしいけれど、真実はまだ誰にも分かりません。リニューアル後のベースベーカリーでは粉は一切買わず、白い麦を使おうとする迷いを起こさず、一粒の麦も無駄にしないパン作りを通して、さらなる美味しさを探究していこうと思います。少なくてもこのルートが、ここから始まる縦走路の入り口なのだと思えました。

コメント

  1. うわぁ。。頑張ってください!
    心から応援します!プレセレモニーには、お伺いできませんでしたが、日々、ブログを、拝読して、私も、元気をいただいてます。頑張ってくださいね!

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    1. ありがとうございます。。。元気、いただきました!週明けに、どうするべきか相談開始します。本来はパン作りに忙しくしているはずですが、修理最優先でがんばります!

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  2. 大変!!
    私は頻繁に伺っているわけではないですが、応援しています。
    ベースベーカリーさんのパン、大好きです。
    これだけの深い想いのこもったパンを頂けることに感謝です。
    大丈夫、再開は待っていますが、焦らずに♡

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